Thursday, July 4, 2013

科学技術振興機構(JST)は、日本が世界に先駆けてiPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った再生医療の実用化を目指す「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」事業の「疾患・組織別実用化研究拠点」に、糖尿病治療や肝臓再生などに取り組む東京大学や横浜市立大学など5つの研究機関を選んだことを発表した。また、拠点機関と連携して臨床応用のための技術開発に取り組む「技術開発個別課題」として、民間を含めた研究機関から応募のあった145件のうち20件を選んだ。

同プログラムは、再生医療を医学の進歩や日本の産業活性につなげることを狙いに今年度から行う集中的支援事業で、政府は2022年までに毎年90億円程度を支援する。今年3月には、iPS細胞の臨床応用のための標準化や安全性の確保、「再生医療用iPS細胞ストック」の構築を目指す「iPS細胞研究中核拠点」(研究10年間・研究費27億円/年)として、京都大学(拠点長、山中伸弥・iPS細胞研究所所長)を選定した。さらに疾患、組織別に担当する「疾患・組織別実用化研究拠点」のうちの「A拠点」(5年以内の臨床応用を目指す拠点、最長10年・4億円/年)として4機関を選んでいた。4つの拠点名・代表機関・拠点長は次の通り。

〈A拠点〉
・「iPS細胞由来神経前駆細胞を用いた脊髄損傷・脳梗塞の再生医療」=慶應義塾大学(医学部、岡野栄之教授)
・「パーキンソン病、脳血管障害に対するiPS細胞由来神経細胞移植による機能再生治療法の開発」=京都大学(iPS細胞研究所、高橋淳教授)
・「視機能再生のための複合組織形成技術開発および臨床応用推進拠点」=理化学研究所(発生・再生科学総合研究センター、笹井芳樹グループディレクター)
・「iPS細胞を用いた心筋再生治療創成拠点」=大阪大学(大学院医学系研究科、澤芳樹教授)

今回選定の5機関は「疾患・組織別実用化研究拠点」のうちの「B拠点」(技術的ブレークスルーを行い臨床応用を目指す拠点、最長10年・1億円/年)となるもので、応募のあった31件のうちから選ばれた。5つの拠点名・代表機関・拠点長は次の通り。

〈B拠点〉
・「培養腸上皮幹細胞を用いた炎症性腸疾患に対する粘膜再生治療の開発拠点」=東京医科歯科大学(大学院歯学総合研究科、渡辺守教授)
・「iPS細胞を用いた代謝性臓器の創出技術開発拠点」=横浜市立大学(大学院医学研究科、谷口英樹教授)
・「NKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発拠点」=理化学研究所(統合生命医科学研究センター、古関明彦グループディレクター)
・「iPS細胞ストック由来硝子軟骨移植および生体内ダイレクト・リプログラミングによる関節疾患再生医療拠点」=京都大学(iPS細胞研究所、妻木範行教授)
・「iPS細胞を基盤とする次世代型膵島移植療法の開発拠点」=東京大学(分子細胞生物学研究所、宮島篤教授)

また今回選定の「技術開発個別課題」(最長5年・5000万円/年)の20件の課題名・代表機関・代表研究者は次の通り。

〈技術開発個別課題〉
・「難治性筋疾患に対する細胞移植治療法の開発」=国立精神・神経医療研究センター(トランスレーショナルメディカルセンター、武田伸一センター長)
・「iPS細胞を用いた新規糖尿病治療法の開発」=京都大学(iPS細胞研究所、川口義弥教授)
・「立体浮遊培養の再生医療への実用化のための自動化技術の開発」=川崎重工業(技術開発本部、中嶋勝己MDプロジェクト室長)
・「幹細胞パッケージングを用いた臓器再生技術と新規移植医療の開発」=慶應義塾大学(医学部、北川雄光教授)
・「幹細胞培養用基材の開発」=大阪大学(蛋白質研究所、関口清俊教授)
・「慢性腎臓病に対する再生医療開発に向けたヒトiPS細胞から機能的な腎細胞と腎組織の作製」=京都大学(iPS細胞研究所、長船健二准教授)
・「移植免疫寛容カニクイザルコロニーの確立と再生医療への応用」=滋賀医科大学(疾患制御病理学、小笠原一誠教授)
・「iPS細胞分化・がん化の量子スイッチングin vivo Theranostics」=名古屋大学(大学院工学研究科、馬場嘉信教授)
・「iPS・分化細胞集団の不均質性を1細胞・全遺伝子解像度で高速に測定する技術の開発」=理化学研究所(情報基盤センター、二階堂愛ユニットリーダー)
・「再生医療に用いるiPS細胞大量培養プラットフォームの開発」=旭硝子(技術本部中央研究所、熊谷博道特別研究員)
・「心機能再生を目指した特定因子による細胞変換技術開発」=東京大学(分子細胞生物学研究所、竹内純准教授)
・「多能性幹細胞から多種類の分化細胞を、最短時間、高効率、高品質、大量、自在に生産するための基盤技術開発と産業化応用」=慶應義塾大学(医学部、洪実教授)
・「iPS細胞・体性幹細胞由来再生医療製剤の新規品質評価技術法の開発」=東京医科歯科大学(大学院発生発達病態学分野、森尾友宏准教授)
・「ブタなど大型動物を利用するiPS細胞技術の開発」=自治医科大学(再生医学研究部、花園豊教授)
・「再生医療用製品の大量生産に向けたヒトiPS細胞用培養装置開発」=東京女子医科大学(先端生命医科学研究所、松浦勝久特任講師)
・「歯・外分泌腺などの頭部外胚葉器官の上皮・間葉相互作用制御による立体形成技術の開発」=東京理科大学(総合研究機構、辻孝教授)
・「再生医療のための細胞システム制御遺伝子発現リソースの構築」=産業技術総合研究所(創薬分子プロファイリング研究センター、五島直樹チーム長)
・「ヒトiPS細胞を用いた視床下部-下垂体ホルモン産生細胞の分化誘導法と移植方法の開発」=名古屋大学(医学部附属病院、須賀英隆病院助教)
・「肝細胞移植に向けたヒトiPS細胞由来肝幹前駆細胞の維持・増殖技術の開発」=大阪大学(大学院薬学研究科、水口裕之教授)
・「再生医療における血管形成制御技術の開発」=大阪大学(微生物病研究所、高倉伸幸教授)

2013年7月3日「iPS細胞、実用化研究の拠点・課題出そろう」 サイエンスポータル編集ニュース 科学技術 全て伝えます サイエンスポータル / SciencePortal

Notes

  1. chikuri posted this

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